大判例

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福岡高等裁判所 昭和25年(う)2560号 判決

被告人 大栗フクエ

(前略)

児童福祉法第三四条第一項第六号にいわゆる「児童に淫行をさせる行為とは必ずしも所論のように該児童との間に雇傭契約が存在し或は該児童をして遊客が来れば之に応じ売淫することを余儀なからしめる様な状態が造り上げられていることを要するものではなく、該児童に淫行をさせるよう誘導し或は該児童が淫行をなすにつきその手段便宜を供与し因つて淫行させることをも包含する趣旨と解されるところ、原判決挙示の各証拠を綜合すれば、被告人は原判示F及びTの両名(当時何れも十八歳未満)並びにその他の女に各その居室及び寝具を提供して被告人方に住み込ませ、同女等が同所において或は他所に外泊して売淫行為を為す都度泊り遊興のときは金四百円、時間遊興のときは金二百円を同女等から受け取る(而も右遊興の身代金は一応その金額を被告人において受け取りその内から右使用料等を差し引く方法による)こととし、又場合によつては被告人自ら直接遊客と身代金決定の交渉に当り、而して女に遊客がつかず右使用料等の収入がなくなるとその女に暇を出し、尚右女達相手の遊興に伴う遊興税につき被告人が特別徴収義務者としてこれを徴収納入していた等の諸事実が明らかであり、右客観的な諸事実に徴し被告人は原判示F及びTの売淫行為につき少くともその手段便宜を供与し因つて同女等に淫行をさせる行為をしたものと認定することができるものであつて所論の様な事情を考慮に容れても、未だ右認定を覆えし本件を以て単なる部屋の賃貸に過ぎないものと為すことはできない。只原判決が右両名につき何れも「………従業婦として雇い入れ……右店舖において男客を相手に売淫を為さしめ………」と摘示しているのは右傍点を附した部分において措辞や、妥当を欠く嫌があるけれども、右は原審第四回公判廷における被告人の供述に照らし認められる通り同人が、昭和二六年七月一日(右供述に昭和二七年とあるのは福岡県西福岡財務所長井口米造名義の昭和二八年七月一五日附証明証の記載に徴し昭和二六年の誤りと解される)から特飮類似業として登録を受け前述のように被告人方に同居する女達が形式上その従業婦たる恰好になつていた事情を言い現わしたに過ぎないものと解され、その挙示する各証拠と対照すれば原判決認定の趣旨も亦結局前段説示する所と同一に帰することが自ら明らかであるので、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな誤認はないものと言うべく従つて論旨は採用することができない。

(後略)

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